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二日目 大分-広島

僕は転倒した。不安になりすぎて沿道にある砂が散らばっている場所で休憩をとろうとTODAYを寄せたのだが、絶望的な体のバランスと目の前のぐらぐらとする揺れも手伝って、僕はまっすぐ止まることが出来なかったのだ。服の破れは一番下のヒートテックにまで及んでいて、暗くてよく見えなかったが血のようなものがついていた。痛くはなかった。感覚がどうにかしているのだ。僕は今の状況を整理しようと地図を確認し、周りを見渡してから時計を見た。しかしそれらの行為は僕の心の中を何も慰めてはくれなかった。むしろ傷口をえぐった。何もできないのだ。今どこにいるかわからない。どうなったら助かるのかわからない。なにが起こっているのかわからない。自分が何歳かまで忘れてしまいそうだった。絶望的。こんな絶望はいままで味わったことがなかった。何かを考えようとすると頭の奥が疼いたし、胃の底の辺りには糸屑のかたまりのようなものが沈んでいてときどき吐き気がした。耳に栓をしたようにあたりはしんと静まりかえっていた。息苦しくて体が震えている。寒さなのか恐怖なのかそれとも両方なのかわからない。もう帰れない。ここまでくると帰れない。この思いが最後の一撃をくわえ、僕をどん底まで叩き落とした。