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四日目 愛媛-兵庫

フェリー乗り場についた。高松-神戸の運航便が出ている四国に有数あるフェリー乗り場のうちのひとつだ。四国にある愛媛と香川だけを走っていると僕はなんだか急に本土へ帰りたくなったのだ。僕は出航の時間になるまでやることもなかったのでベンチに座って周りの人を漠然と観察していた。

身なりのいい学生が同じ制服を身に着けてなにやら言い合っていた。二人はたぶん同じ学校に通っているのだろう。なんだか楽しそうだ。彼らの話しているのは好きな女の子の話だろうか、部活動で県大会に出た話だろうか。そんなことを考えながら彼らを眺めているうちに僕は秀才だったクラスメイトのことを思い出した。彼はとにかくなんでもできて微分法から動詞の活用まで理解していて徳川家の十五代将軍も全部言えるという担任の先生も自慢の生徒だった。スポーツも万能で部活動のキャプテンに就任していたしおまけにイケメンだった。高身長でとにかくよくモテた。僕は彼の周りにいる女の子と少しでも話をするためによく勉強のことを聞きにいっていた。いつも国語ばかり聞いていた。題問にある作者の気持ちなんてわからない。問題の作成者はわかっているのか、と愚痴をよくこぼしたものだ。彼はそれを文句も言わず聞いてくれた。

そういえばなぜ国語ができなかったんだろう、と僕はふと思った。昔から算数や数学は好きで暇さえあれば足したり引いたり計算をしていた。その一方で、国語はセンター試験で他教科の半分の点数をとってしまうくらいまるで駄目だった。もちろん理系コースへいき数学や理科を重点的に勉強して、文系コースの国語や社会はやらなかった。英語だけは好きだった。でもなぜこうやって文系と理系を分けるのだろうという疑問に僕の考えはだんだんと移っていった。それは単にわけるために国語や数学で区別すべきことではない気がしてきた。フェリー運航は四時間半もあってすることもわからなかったのでとりあえずこのことについて考えてみることにした。

 

孫正義から学んだマネジメント