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四日目 愛媛-兵庫

うどん屋を出て、高松へ向かっている途中に丸亀や坂出を通った。そこに瀬戸大橋が見えてきれいな海の景色が眺められた。瀬戸内海に浮かぶ島々が目の前に広がり、その橋を際立てるアクセントとなっていた。瀬戸大橋香川県坂出と岡山県倉敷をつなぐ橋で自動車専用道路だったため僕は行くことができなかったが、世界最長の名を持つだけあって堂々とした風格を持ち、先の方はうっすらとしか見えなかった。それは僕に中国の万里の長城を思わせた。だれがこんなに長いものをつくったのだろう。どのくらいかかったのだろう。そしてどれくらいの効果があったのだろうか。たくさんのお金と時間と労力をかけて人のためになることをするのは、どれに価値を置くか置かないかで意味がだいぶ変わってくる。それを判断して決定するのはもっと難しいだろうなと僕は思った。瀬戸大橋の建設理由について考えを巡らせていても中国の万里の長城はいったいなぜ六千キロも作ったのか、僕にはまったく理解ができなかった。

僕のこの旅は意味があるだろうか? お金をかけて時間をかけて労力は全部突っ込んでいる。それは人のためになることなのだろうか。いやたぶんならない、と僕は思った。この旅は自分のために出ていて人のためではないのだ。旅をする人間は普通、人のために旅に出たりはしない。自己満足とわかっていても何かを変えたくて出てしまうんだ。理由なんてない。理由があるとすれば・・・さっきもこんなことを考えたじゃないか。もう難しくて答えの出ないことを考えるのはやめよう。それは後でじっくり考えよう。僕は疲れていたので考えるのをあきらめてだまって瀬戸大橋を眺めていた。ふと中国の万里の長城を作った気持ちが少しだけ理解できた気がした。僕は瀬戸大橋を眺めるのもやめ、TODAYに深く腰掛けてからエンジンをかけた。そして再び国道十一号線に乗って高松の方へと進みだした。