MENU
おすすめの記事はこちら

2016-03-19から1日間の記事一覧

四日目 愛媛-兵庫

僕は長い眠りから覚めた。いったいどのくらい眠っていたのだろう。昨夜の暴力的と言ってもいいくらいの激しい眠りは夢一つ見させてはくれなかった。テントの外に出るとあたりは急激に気温が下がっており、あらゆるものはその表面に薄い氷の膜を張っていた。…

四日目 愛媛-兵庫

今治を出て少し進むと新居浜に出た。そこは四国霊場八十八か所めぐりの伊予の霊場がいくつかあるあたりだった。ついさっき通ってきた西条にも霊場がいくつかあり、僕は案内板に興味をひかれてここまで走ってきたのだ。あたりを見回すとお遍路さんの姿が何人…

四日目 愛媛-兵庫

今治を出て少し進むと、香川に出た。香川と言えばうどんだと僕は即座に思った。別に腹が減っていたわけではない。それどころか朝食はさっき食べて空腹なんてほとんど感じなかった。でもせっかくきた香川を素通りしてしまうわけにもいかない。僕はとにかく讃…

四日目 愛媛-兵庫

うどん屋を出て、高松へ向かっている途中に丸亀や坂出を通った。そこに瀬戸大橋が見えてきれいな海の景色が眺められた。瀬戸内海に浮かぶ島々が目の前に広がり、その橋を際立てるアクセントとなっていた。瀬戸大橋は香川県坂出と岡山県倉敷をつなぐ橋で自動…

四日目 愛媛-兵庫

フェリー乗り場についた。高松-神戸の運航便が出ている四国に有数あるフェリー乗り場のうちのひとつだ。四国にある愛媛と香川だけを走っていると僕はなんだか急に本土へ帰りたくなったのだ。僕は出航の時間になるまでやることもなかったのでベンチに座って周…

四日目 愛媛-兵庫

文系と理系をわけることについての考察。教育現場では便宜上、文系と理系に分けて扱うことが多い。でも結局のところ、文系と理系という概念は、課題解決のためのアプローチの手法のひとつとして分けられているだけである。というのが四時間半で出した僕のだ…

四日目 愛媛-兵庫

僕は勉強もなんでもできてスポーツも万能で部活動のキャプテンにも就任していたクラスメイトの家へ向かっていた。彼は神戸大学に推薦入試で合格し、一人暮らしをしながらささやかな学生生活を送っていた。長い道のりを進み続けて住所の通りにTODAYを走…

三日目 広島-愛媛

僕は眠ることが出来なかった。ファミレスで三時半に起こされてそれからマクドナルドに行くことになったのだ。満足いくような深い眠りはその日に一度も訪れなかった。日が昇り始めてあたりは生き返ったように色を帯び、町は一つの生命体みたいに見えた。その…

三日目 広島-愛媛

伝統のある家が軒を連ねてこの島の歴史をあらわすモニュメントがいくつか並んでいた。松の木が涼しそうになびき、海からの潮風は心地よいものだった。鹿までいた。鹿?と僕は思ったが、まあ鹿ぐらいいるさ、奈良公園には約千三百頭も鹿がいるんだ。ここにい…

三日目 広島-愛媛

僕は広島市にいた。いくつも立ち並ぶ高層ビルがまるでロボットの体のようにひしめき合っている。どこかでパトカーのサイレンの音がする。誰かが交通事故を起こしたのだろう。少し進むとその違反者と警察官がいがみ合っていた。警察官は規則に従って取締りを…

三日目 広島-愛媛

僕は尾道にきていた。さきほどの雪雲はまぼろしだったかのようにどこかへいき、空は深くて疑いの余地もないくらいに明るく輝いていた。その空は南国のビーチで見る青い空を僕に思わせた。晴れたのだ。見わたす限りの大洋に浮かぶ小さなボートのように僕は広…

三日目 広島-愛媛

しまなみ海道の入り口に着いたとき、とうとう旅が始まった感じがした。見渡す限り大海原の入り口に立っている気がした。旅行に行く前の飛行機に乗ったあの感じと似ていた。好奇心が間欠泉のように湧き上がり、僕の体を綿のように軽くした。周りの人々も僕を…

三日目 広島-愛媛

大三島を抜けて伯方島に入ったとき辺りは淡い闇に覆われてだんだんとその色を失っていった。空の色彩が繊細になっていくのを眺めていると、僕の心も静かに落ち着いていくのを感じることができた。僕は景色を見るために少し外れた高台に移動していたため、見…

三日目 広島-愛媛

大島に入ってからしばらく進むと来島海峡大橋が見えてきた。その先には暗い空と海と今治の町の夜景が広がっている。今治の町の光がしまなみ海道の終わりを告げていた。その光は少し僕を寂しくさせて、なぜか急に保育園の遠足で行なった最終日の花火を思い出…