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2016-03-21から1日間の記事一覧

六日目 大阪-静岡

愛知に入ると、弥富を抜けてすぐ名古屋に入った。周りに広がるビルの数にこれまでの奇妙な感覚は少しは拭われたようだった。しかし相変わらず空は低く雲がずっしりと覆い、高いビルはその上を突き抜けてしまいそうだった。おびただしい数の車が行き交い、わ…

六日目 大阪-静岡

僕は静岡の浜松まできていた。三重をぬけてから愛知に入り、金のしゃちほこを見たあとに、長い静岡を走ってきたのだ。静岡に入ってからはどこを走っていても常に富士山が見え、僕は常にその山から監視されているような気分になった。あたりは夕闇につつまれ…

七日目 静岡-神奈川

僕が起きると時刻は朝七時頃だった。九時間パックの終了時刻までは少し時間が余っていたので、僕はジュースを飲みにセルフサービスコーナーに行った。そこではさまざまな種類のさまざまなジュースがあった。僕はコップをとってボタンを押したが注ぎ口からジ…

七日目 静岡-神奈川

芦ノ湖が見えてくると道路標識は箱根に入ったことを知らせた。そこは高低差が大きくて僕は何度も蛇のようにくねくねとした道を進まなくてはならなかったが、街や景色の雰囲気はじつに優美だった。高い位置から湖と山の眺望が利いて一面が見晴らせた。街では…

七日目 静岡-神奈川

大学に着くと彼はすでにコーヒーを飲んで座っていた。僕は近づいて声をかけた。 「よう。久しぶりだな。」 「ほんと久しぶりだな。」と彼は立ち上がって言った。 「変わらないなお前は。」と僕は言った。「お前もな。」彼も続けた。 僕たちは小学生の頃から…

八日目 神奈川滞在

僕はもう一日彼の家で泊まった。その日彼は用事があるというので、僕は彼の用事が終わるまで家でテレビを見ていたが、おもしろくもないのでコンセントから切って音楽をかけた。Mr.Childrenの「KIND OF LOVE」と「Its a wonde…

九日目 神奈川-福島

僕は横浜を出発して東京に来ていた。そこは東京の中心地ともいえる千代田区のあたりで朝からこれまでに感じたことのない種類の雰囲気が街全体を覆っていた。左右に並んだ高層ビルは今にも襲いかかってきそうで、すべての建物は実際的な構造をしており、空き…

五日目 兵庫-大阪

僕がベッドに寝て、彼は通路に座椅子を敷いて寝ていた。僕は起き上がって、頭の中に漂っているちらちらとしたものを眺めながら、漠然とした意識でリビングを見渡した。すると彼が起きてきたので、今日は大阪に行くと伝えると、彼も来ると言った。大阪にいる…

五日目 兵庫-大阪

イオンモールのサンマルクカフェに着いたとき彼は既にそこにいた。彼はじっと珍しい動物でも見るような目で僕の姿を見ていた。 「久しぶりに会ったと思えば、なんだその格好は?」と彼は驚いたように言った。 「いろいろあってね、旅に出ているんだ。」と僕…

六日目 大阪-静岡

僕は今日泊めてもらう友達の家の最寄駅へ向かっていた。僕たちは最寄駅で待ち合わせをしていたのだ。駅に着くと友達はもう待っていた。 「よう。久しぶり。」と友達は言った。 「ひさしぶりだな。」と僕は言った。この会話をするのは今日二回目だ。 「よく来…

六日目 大阪-静岡

僕は昨日泊まった友達の家を出発しようとしていた。豪華できれいに装飾されたその家は、閑静な住宅街の一角に周りとは不釣り合いの風貌で堂々と立っていた。その友達は会社の経営者の息子だった。朝ご飯にはさまざまな種類のパンがお皿に盛られて、紅茶かコ…

六日目 大阪-静岡

それから僕は奈良へ向かおうとしていた。TODAYのエンジンはいつもより調子のいい音を吹かせてその身を軽々と前へ運んでいた。途中でガソリンスタンドがあったのでそこに入って給油をし、エネルギーを満タンにした状態で再び進み始めた。空は曇っていて…

六日目 大阪-静岡

僕は何のために旅に出ているのだろう。さっきのふとした思いが靴の中の小石のように僕の頭のどこかで残り続けていた。僕が旅をし始めたのは約一年前からだった。それまで大阪に住んでいて、鹿児島へきたときに大自然のすごさに圧倒されて、気がつけば旅をす…

六日目 大阪-静岡

奈良の奇妙な集落を抜けてから三重へ入った。国道二十五号線から国道一号線に乗り換えて亀山に入り、ずいぶんと久しぶりに町の風景が見えてきた。間に合わせで作ったようなチェーン店やファストフード店は周りの平野風景と場違いに建っていた。僕は自動販売…