MENU
おすすめの記事はこちら

2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

四日目 愛媛-兵庫

うどん屋を出て、高松へ向かっている途中に丸亀や坂出を通った。そこに瀬戸大橋が見えてきれいな海の景色が眺められた。瀬戸内海に浮かぶ島々が目の前に広がり、その橋を際立てるアクセントとなっていた。瀬戸大橋は香川県坂出と岡山県倉敷をつなぐ橋で自動…

四日目 愛媛-兵庫

フェリー乗り場についた。高松-神戸の運航便が出ている四国に有数あるフェリー乗り場のうちのひとつだ。四国にある愛媛と香川だけを走っていると僕はなんだか急に本土へ帰りたくなったのだ。僕は出航の時間になるまでやることもなかったのでベンチに座って周…

四日目 愛媛-兵庫

文系と理系をわけることについての考察。教育現場では便宜上、文系と理系に分けて扱うことが多い。でも結局のところ、文系と理系という概念は、課題解決のためのアプローチの手法のひとつとして分けられているだけである。というのが四時間半で出した僕のだ…

四日目 愛媛-兵庫

僕は勉強もなんでもできてスポーツも万能で部活動のキャプテンにも就任していたクラスメイトの家へ向かっていた。彼は神戸大学に推薦入試で合格し、一人暮らしをしながらささやかな学生生活を送っていた。長い道のりを進み続けて住所の通りにTODAYを走…

三日目 広島-愛媛

僕は眠ることが出来なかった。ファミレスで三時半に起こされてそれからマクドナルドに行くことになったのだ。満足いくような深い眠りはその日に一度も訪れなかった。日が昇り始めてあたりは生き返ったように色を帯び、町は一つの生命体みたいに見えた。その…

三日目 広島-愛媛

伝統のある家が軒を連ねてこの島の歴史をあらわすモニュメントがいくつか並んでいた。松の木が涼しそうになびき、海からの潮風は心地よいものだった。鹿までいた。鹿?と僕は思ったが、まあ鹿ぐらいいるさ、奈良公園には約千三百頭も鹿がいるんだ。ここにい…

三日目 広島-愛媛

僕は広島市にいた。いくつも立ち並ぶ高層ビルがまるでロボットの体のようにひしめき合っている。どこかでパトカーのサイレンの音がする。誰かが交通事故を起こしたのだろう。少し進むとその違反者と警察官がいがみ合っていた。警察官は規則に従って取締りを…

三日目 広島-愛媛

僕は尾道にきていた。さきほどの雪雲はまぼろしだったかのようにどこかへいき、空は深くて疑いの余地もないくらいに明るく輝いていた。その空は南国のビーチで見る青い空を僕に思わせた。晴れたのだ。見わたす限りの大洋に浮かぶ小さなボートのように僕は広…

三日目 広島-愛媛

しまなみ海道の入り口に着いたとき、とうとう旅が始まった感じがした。見渡す限り大海原の入り口に立っている気がした。旅行に行く前の飛行機に乗ったあの感じと似ていた。好奇心が間欠泉のように湧き上がり、僕の体を綿のように軽くした。周りの人々も僕を…

三日目 広島-愛媛

大三島を抜けて伯方島に入ったとき辺りは淡い闇に覆われてだんだんとその色を失っていった。空の色彩が繊細になっていくのを眺めていると、僕の心も静かに落ち着いていくのを感じることができた。僕は景色を見るために少し外れた高台に移動していたため、見…

三日目 広島-愛媛

大島に入ってからしばらく進むと来島海峡大橋が見えてきた。その先には暗い空と海と今治の町の夜景が広がっている。今治の町の光がしまなみ海道の終わりを告げていた。その光は少し僕を寂しくさせて、なぜか急に保育園の遠足で行なった最終日の花火を思い出…

二日目 大分-広島

二日目の朝が来た。日が東から昇り樹木や草や葉が朝日の光を受けてみずみずしく輝いていた。公園は昨夜から一晩で生き返ったようにその活力を取り戻し、薄い朝の膜のようなものが辺りを覆っていた。新しい一日が始まり、たくさんの営みが今日もスタートする…

二日目 大分-広島

僕はポケットからiPodを出し、Mr.Childrenの(an imitation)blood orangeを聴いた。そのアルバムは全部で十一曲収録されており五十九分で曲が一周する。(1)hyponosisから始まり(11)祈り~涙の軌道で…

二日目 大分-広島

もうすぐ大分をぬけそうだ。福岡のナンバープレートがあたりを埋めはじめたころ、あたりは昼に近づいていた。太陽は燦々と照り付け、冬にもかかわらず上着がいらないほどの気温だった。風は冷たいがあたたかい太陽の陽ざしが道行く人を活気づけていた。忙し…

二日目 大分-広島

福岡をぬけた。関門トンネルを抜けて山口へ到達したのだ。降り立った地は下関で、そこには有無を言わせない見事に立派な橋が建っていた。関門橋だ。僕は山口側からその橋と関門海峡が同時に見える風景を眺めていた。海風が心地よく鳥が気持ちよさそうに飛ん…

二日目 大分-広島

防府市のあたりにさしかかったとき日は傾きかけていた。このままここに泊まろうかと考えたが「せっかくここまできたんだ。広島までいこう」と決意して僕は走り続けた。しかし、このとき僕の頭に何かがよぎった。嫌な予感がした。何か黒くてもやもやとしたも…

二日目 大分-広島

僕は転倒した。不安になりすぎて沿道にある砂が散らばっている場所で休憩をとろうとTODAYを寄せたのだが、絶望的な体のバランスと目の前のぐらぐらとする揺れも手伝って、僕はまっすぐ止まることが出来なかったのだ。服の破れは一番下のヒートテックに…

二日目 大分-広島

僕の意識のふちを蹴ってきたのはクラクションの音だった。渋滞している。僕はどうしていたのだろう?頭に手があったことを思うとふさぎ込んでいたのかもしれない。どれくらい時間が経過したか分からない。はっきりとしていることは、渋滞していることと、絶…

旅の始まり

年末特有の妙に落ち着いていて、そして忙しい時期に僕は旅に出た。僕はドキドキともワクワクとも言えない何か特別な感情を抱いていた。まるで悪戯をして見つかるのを待っている時のような心境だった。その無謀とも言える旅で僕はたくさんのことを手に入れた…

一日目 鹿児島-大分

朝が来た。 昨夜、期待とも不安とも言いがたい、不思議な気持ちが心を占めた。新たなことをはじめるとき大抵の人間がそうであるように、僕はベッドの中で心躍り同じくらいかそれ以上に不安定になった。僕はその不安定さを取り除くために日常で行ういつも通り…

一日目 鹿児島-大分

十二月四日。僕は出発した。青空で晴れた日だった。僕はもう期待とワクワク感しかなかった。昨夜まで苦しめていた不安はどこかへ消え去っている。波打ち際にある落書きのように潮の満ち干に跡形もなく消されている。あれはどこへいったんだろう?あれはなん…

一日目 鹿児島-大分

宮崎についた。鹿児島から出発してまだ引き返せる距離だったので安心感があった。小学生の家出みたいに遠出するといっても戻ってこられる距離にいき、結局は寂しくなって帰ってくるということはよくある。そういう安心感はたしかにあった。でも、帰る気はこ…

一日目 鹿児島-大分

大分についたとき、もう日が暮れはじめていた。空を見あげると雲は以前よりずっと低く垂れ、その不吉な暗みを増していた。見慣れぬ景色と街並にひとりきりでいて、夕陽がだんだんそのオレンジ色を失っていくのを見ていると、僕はたとえようもない寂寥感を感…

一日目 鹿児島-大分

僕は混乱した意識を戻し自分の体に自分の意識を入れ込んだ。体の微妙なバランスは絶妙なバランスにかわり、立ち上る湯気のように何もかもが軽くなってきた。何より素晴らしいのは人がたくさんいて明るいことだ。僕はここで温泉に入ろうと決心した。 選んだの…

一日目 鹿児島-大分

こげ茶色の地面になっている遊歩道の横に僕はテントを張った。僕がテントを組み立てる工程はぜんぶで十にわかれている。(1)テントを袋から取り出すにはじまって(10)杭を打ちつけるに終る。ひとつひとつ番号を数えながら、きちんと順序通りにテントを組み…